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伊藤千晃のAAA卒業が30代独身女に与えた衝撃

昨年2017年の1月に、AAAから伊藤千晃さんの卒業が告げられた。

衝撃的だった。

ネットを検索すると、若い世代を中心に、やっと売れたAAAなのにできちゃった結婚なんて無責任だと思う人もいたようだが、私は全くそんなことは思わない。

私は独身だが、三十を過ぎて子供を自然に妊娠することも、年老いて体力が落ちてから子育てをすることも、大変なことなのだと、友人たちを見て感じている。一般的に結婚のタイミングは後ろにずれていったが、子供だけは、自然に妊娠できる年齢とタイミングで産むのが体の負担や出産の危険が少なくて良いと思う。社会的なタイミングと生物的なタイミングのずれを、無理に合わせることなく、社会で支えていけるようになれば良いのにとずっと思っているが、難しい問題だ。

千晃ちゃんの妊娠は、タイミング的に、無計画ではなく計画的な妊活の成功だと私は感じたが、食事を制限されるような芸能活動をしていて、もし30ギリギリ前で自然に妊娠できたのなら良かったなあと思った。実際は何か治療をしたのかもしれないが、あんなに小さくて細い千晃ちゃんだから、あの年で子供ができて本当に良かったと心から思う。

もちろん、千晃ちゃんが幸せになることなら、結婚もとてもおめでたい。

 

その上で、何が衝撃的だったかというと、AAAを卒業してしまったことだ。一時休止ではなくて。

伊藤千晃はもう30だ。恋愛禁止などと言われてもうすら寒い年齢で、疑似恋愛で売るような年齢もとっくに過ぎている。
インタビューやライブのMCで、宿泊を伴っていそうな恋愛の話も普通にしていた。それでも男女ともにファンは多くいた。

そして、AAAのメンバーは近年のライブのMCでは、メンバーに子供ができたらステージに連れてきちゃってこんな風に……なんて子供をいじる真似をしたりもした。結婚したいという話もしていた。
それを聞いていた私は、AAAのメンバーは、きっと、それぞれ結婚して子供を産んでも、家庭と両立させてAAAを続けるのだと安心していた。AAAの活動が減ってもかまわなかった。産休や育休は男子も取ってほしいなあと思っていた(それは今でも思っているが)。

 

だから、千晃が、妊娠と結婚「ごとき」で辞めるといったことに、AAAに抱いていた理想がガラガラと崩れるようだった。

「ごとき」であってほしかったのだ。
AAAのファンは、ライブにいくと、私のような必死で気持ちの悪いいかにもヲタみたいなのは少なくて、男女隔てなく仲の良い学生のグループ、家族連れ、夫婦など、非常にまともに生きていそうな人が目立つ。現場はリア充の巣窟だ。リア充が連れ立って行くテーマパークだ。
だから、なんとなく、子育てをしながら活動する姿も見せていくのだろうと勝手に信じていた。

これがリア充ではない私の発想で、リア充にとっては結婚で女性が辞めることは自然なのかもしれないとふと思ったこともあるが、それでも、avexなら大丈夫だと思っていたのだ。産休や育休で休止をしても、ずっとAAAでいてくれると思っていた。

 

 avexのグループをメインに推す前の私は、ライジング(当時はヴィジョンファクトリー)のFolder5を推していた。

ゴールデンタイムのテレビに出ていて、ヒット曲もあったのだが、彼女らが一度もワンマンライブをしなかったことを知っているだろうか。
一度、男性グループのw-inds.とFLAMEとコラボレーションをしたことがあった。大知と丈がいたFolderも好きだった私は男女のコラボレーションと聞いて期待していたが、コラボ曲にはがっかりした。そのときの彼女らは完全におまけに聞こえた。主旋律をFolder5だけで歌うパートがどこにもなかった。

ライジングはMAXとSPEED以外の女性グループを応援しても、扱いの悪さに苦しくなるだけかもしれないと思い、Folder5がフェードアウトしたときに、もともと周辺アイドルとして曲やメンバーは認識していたdreamに移った。(その後のライジングもHINOIチームなどを聴いていたが)

avexTRFELT浜崎あゆみなど、女性アーティストが強い。だから大丈夫だと思っていたら、やはりdreamはワンマンライブがあり、ライブイベントも豊富で、曲もバラエティ豊かで、応援するのがとても楽しかった。

dreamだけでなく好きだったけれどいなくなってしまったグループはあるが、それでもavexが主食になってからは、Folder5のときのような、他と比べて理不尽だと感じることは格段に減った。

dreamについては次回に書く予定だが、dreamが消えかけて、DRMで復活したが消えて、寂しくて、やはりdreamのついでに曲やメンバーを認識していたAAAに移った。

そんなavexで、男女混合のままアラサーになったAAAは、私の理想のグループだった。

 

そして私は今も、独身でずっと仕事をしている。職務も職種も、男女の差は無い物だ。好きな内容とポジションで仕事ができている。

それでもたまに周りがちらつかせる結婚の問題がある。しかし物好きな男性からアプローチがあっても、今の仕事を今のペースで続けることと天秤にかけて仕事を取ってしまう。恋愛にさほど興味がなくても若い頃は、周りも恋愛しているし、なんとなく誰かと付き合おうかなあ、という勢いがあったが、さすがに三十代になると難しい。結婚したいと思わないと結婚も恋愛もできない。

だからこそ、男女混合で、対等に輝いているAAAには、宇野ちゃんや千晃ちゃんが結婚して子供を産んでもスターとして輝けるグループであってほしかった。

 

千晃が辞めたことで、これまでAAAを好きでいた自分の時間が無駄のように思えた。

しかし、誰かに言われて気が付いたのだ。
結婚してグループや仕事を辞めることも、個人の自由だと。
男女問わず、どう暮らしていくか、育てていくか、そして働いていくかを、選べることが理想だと。

 三十代独身女特有の偏ったフェミニズムをこじらせていたことを自覚した。なんだか自分にがっかりして、無自覚に肩肘張っていたのかも知れないと思い、とりあえず酒を飲んだ。しばらく、飲んでも飲んでも酔わない日が続いた。

しかし、男女問わずに人生を選べることにこだわるのは、正しいと思っている。

 

AAAの伊藤千晃としての最後のトークショーに運良く行くことができたが、正気で見られる気がしなくて、居酒屋で熱燗を飲んでから向かった。
しかし全く酔えていなくて、トークショーでは正気のまま泣いたが、会場の至る所から泣き声が聞こえた。

そのあとは、AAAから千晃がいなくなったことや、千晃がAAAでなくなったことが、純粋に悲しかった。

六人になったツアーでは、千晃ちゃんのパートを宇野ちゃんや日高くんが真剣に歌っているのを見て何度も泣いた。
それでもAAAの六人は全員が輝いていて、男女が対等に輝くグループだった。

千晃ちゃんの写真集や写真展は、柔らかい表情になりながらもこれまでのイメージから外れないアーティスティックな、商品としての伊藤千晃を千晃ちゃんが誰よりもわかっていて、ちゃんと演出した素晴らしい物だった。
その上で、語られる言葉にまた泣いた。